AKB48まとめんばー

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2012年10月15日月曜日

浦研プラス

一応、僕はAKBのファンではありません。
この先ファンになる可能性があるかっつーと、「宗派」が違うので多分ないかと思います(笑)。
が、一読して思ったのは秋元康氏やっぱりすげぇなと。
日本のエンタメを語る上で秋元氏を通らないものは意味が無いと思うし、これだけコンテンツが売れないとか言ってる中でAKBのシングルはどうあれ100万枚以上を売り上げたりしてるわけで、そのエッセンスを学ばない手はないなと。


まずアイドルにハマることが一種の宗教的法悦を求めること、というくだりがあってそこは同感だった。
無宗教が大多数な日本における宗教は、たとえばアイドル。
で、これまでは創価学会だったのかもしれない。
本書には創価学会が、地縁や近所付き合いに乏しい都会においてコミュニティ機能を代替したという旨の記述があったが、この場合の宗教的法悦というのは性欲のダイレクトなはけ口等ではない、かといって現世で付き合える可能性もほとんどない(ほとんど)アイドルという女の子を「推す」気持ちは一種の宗教に近い、というものと解釈した。


ただ、JリーグはAKBのやり方を参考にせよ、つーのは本書を読んだらかなり懐疑的になった。
全く参考にできないわけじゃないが、虚実でいうとリアルしかないサッカーが何を真似してよいのかなというのは前掲の記事でも触れた通り。


例えばAKBを支える「推し」の概念については、要はなぜ「推す」のかというともちろんその子に恋愛感情ないし擬似恋愛をしている上(恋愛感情がないっつーのはブラフと感じる)、最終的に総選挙というスターダムにのし上がる舞台が用意されているからだと思う。


これは、サッカー選手には応用しにくい。
例えば他チームの選手がいくらイケメンだったり上手かったりして、その選手を「推す」手段があったとしても、その選手のキャリアには特段影響しないからだ。
サッカー選手「も」実力でのし上がらなくてはならないが、その実力というのは競技における競争力以外にはない。
某サッカー誌の人気ランキングで1位になった選手でも、代表にカスリもしないで地域リーグでひっそり引退ってのがザラにある世界だ。


では人気投票で代表選手を決めればいいのかというと、100%そんなことは起こり得ないし、まかり間違って起こったとしてもそのオールスターチームがワールドカップ予選における競争力を持ち得るかは疑問だ。
また、現状すでにザッケローニ監督のチームが良い結果を残しているのに、あえてオールスターチームを持ちだしても人気アップは図れないだろう。


ところで、AKBの人気がテレビを筆頭とするマスメディア抜きでありえたのかというと、ありえなかったと思う。
確かに「現場」と「ネット」の活用をやっているが、それ以上にテレビ、ラジオ、雑誌(表紙にAKB関連を見ない週は珍しい)、街頭広告(自販機でしょっちゅう見かける)、など広告媒体の絨毯爆撃を行なって認知度を高めたのだろう。


ただ、もちろん認知度だけでなく好感度が必要なわけで、AKBはルックスのいい「可愛い女の子」に「ガチ」をやらせることで「わかりやすい悲喜劇」を生んでいる。
それがAKB総選挙であり、現在は日本武道館(1万人)を満員にして報道陣が詰めかけるコンテンツになっている。


で、総選挙というのは10代後半から20代前半ぐらいの女の子が、複数買いがあるとはいえ「身も蓋もない評価」にさらされる場所だ。
とてつもないプレッシャーがかかるし、観客にとってはコロッセオで殺し合いをするような見世物になっていると思う。
何しろ、時々の文脈を知らなくても、「次に呼ばれるか否かでこの子の人生は変わるんだろう」というのは僕にもわかる。
事務所のプッシュがありながらも全く順位が振るわない子が何を思うのか、等は想像できる。


で、Jリーグの認知度向上について。
Jリーグが出資してゴールデン枠を買い取るという方法論があり得るが、認知度だけでなく好感度を上げなければ既存ファンが見て終わり、になりかねない。
JリーグがAKBから参考にすべきは、こうした「テレビ映えする見せ方」かと思う。
そしてテレビ映えするというのは「わかりやすい悲喜劇」に他ならない。


なので、取り急ぎやるべきなのは2ステージ制の復活、チャンピオンシップの復活、J1/J2入れ替え戦の復活ではないかと思う。
これで十分という意味では全くないが、少なくとも年に2回(3回)優勝できる可能性があり、「J1優勝」が年2回報じられるのは意味がある。
チャンピオンシップと入れ替え戦はAKB総選挙に近いわかりやすさがあり、それはつまり「敗者は地獄に叩き落される」から。


サッカー高校選手権の報道姿勢を見ればよくわかるが、涙はコンテンツだ。
だから高校選手権では、日テレのカメラが敗戦チームのロッカールームに入り、泣き崩れるチームを撮影する。
同時に、スタンドで泣きはらす女子チアや女子学生もきちんと抜く。


現在のJリーグには、勝者の歓喜は「わかりやすく」存在するが、敗者の絶望が「わかりやすく」はない。
わかりやすいというのは、つまり優勝チームと降格チームが同じ試合で決まるとかそういう意味で。
そういう意味で、チャンピオンシップと入れ替え戦は煽りやすくはあるわけで。


こういうのが「サッカー的に良いか」というと、まあ良くはないだろう。
リーグ34試合を戦い抜くことでしか得られないものは大きいし、2ステージ制だと補強などで勢いをつけたチームが短期決戦を制しやすい。
スコアレスドローはブーイングの対象になりやすいかもしれない。


ただ、「わかりやすさ」とはつまりショービズに魂を売ることなのだと思う。
ショーとして観た時、現在のJリーグには多々問題があり、それを解決するために頭を捻らねばという事情を理解して読んでいただければ幸い。


なお、チャンピオンシップの視聴率も特段良くなかったという事情は踏まえているので、当然そこにテコ入れも必要。
それが何なのかは現時点では思いつかない。
それこそ、日本代表とのエキシビジョンマッチにするという手もあるのかもしれない。
何しろ代表の試合なら視聴率はそこそこ取れるわけで、そこにJ1王者を出せば露出は高まるだろう。


また入れ替え戦についても、可愛い女の子のサポーターをきちんと発見しておくか、「仕込んで」おくか、テレビ映えするやり方はあると思う。
何度もいうが、こういうのが良いと思ってはいないけれども、ショーとして見せるならそういうのも必要かもねって話で。