AKB48の大島優子(24)が「この映画は嫌いです」とコメントしたサイコサスペンス「悪の教典」(三池崇史監督、公開中)。人気アイドルにダメ出しされた映画、どれだけすごいのか。 原作は2010年に発売された作家、貴志祐介氏の同名ベストセラーで、「ハスミン」のあだ名で生徒たちに親しまれている高校教師の蓮実聖司が、同僚教師や保護者、担任のクラスの生徒全員を殺そうとするストーリーだ。主演は「海猿」シリーズで知られる伊藤英明(37)で、R15指定となっている。 大島は18日、都内のシネコンにAKBメンバーを集めて行われた特別上映会に参加。ショットガンで生徒を次々と射殺するといったシーンに衝撃を受け号泣し、映画を見た後に芸能人が出すコメントとしては異例の「全否定」内容となった。 批評家ウケはどうか。映画評論家の垣井道弘氏は「善人ぶったり正義漢を装っている人ほど実は危ないのだ、という人間の持つ二面性を描いているところが面白い」と評価。「『海猿シリーズ』では仲間を大事にする良い人を演じた伊藤が、イメージを払拭し、殺人鬼をリアルに演じる意外性も楽しめる」という。 海外でも好意的で、今月開催されたローマ国際映画祭では、4分半にわたるスタンディングオベーションを受けた。興行収入も、邦画では大ヒットの目安となる20億円を射程に収めている。 賛否両論があって当然の内容だが、あるベテラン評論家は、「大島は映画『闇金ウシジマくん』で出会い系カフェに入り浸る女性を好演し、女優として進歩が見えたが、今回の感想は、女優としては子供っぽい。女優を続けるのなら戦争映画やホラー映画もたくさん見て、鑑賞力や批評精神を鍛えるべき」と話す。 大島の真っ正直な意見に、配給の東宝は「真実は映画を見て判断してほしい」とコメント。垣井氏は「米国では、賛否両論を逆手に取って問題作であることを印象づける映画のPRが珍しくない。みんながそろって褒めまくる平均点確保の映画よりも、こうした映画のほうが刺激的で面白い」と裏を読む。 当の大島は19日、ブログで「取り乱してしまいました」と謝罪はしたが「でも、私は嫌い」とキッパリ。 我が強いのも、名女優には欠かせない要素ではある。