
2013年秋に上映予定で、今年11月にクランクインすることが発表されていた、黒沢清監督の映画『一九〇五』。日本からは前田敦子と松田翔太が、そして香港からは梁朝偉(トニー・レオン)が出演すると、9月10日に各メディアが大きく取り上げた。AKB48を卒業した前田敦子が世界進出を目指すということ、また演技派で国際的に知られる名優トニーが、日本作品に初出演ということで、注目を集めていたのだ。だが報道からわずか一週間後、トニー側が「正式に出演を決めた訳ではない」とコメント。「まだ契約に至っていない」と、実現しない可能性があることを匂わせた。(写真は「CNSPHOTO」提供)
■「梁朝偉(トニー・レオン)」写真特集
トニーの出演が報道された以降、中国では「愛国心や気骨がない」と多くのネットユーザーたちが失望の声を浴びせていた。尖閣問題をめぐっての、反日感情の拡大がその理由である。
その反応を深刻に受け止めたトニーのマネジメント事務所が、「黒沢監督の『一九〇五』という作品は、09年から出演オファーをいただいていました。当時脚本はなく、現在も交渉中の段階。出演契約のサインも交わしていません」と、状況を説明した。
出演発表時には「長年敬愛してきた黒沢監督と仕事ができる機会を得て、興奮しています。貴重な体験を楽しみたい」と喜びを伝えていたトニーだが、この状況下では一旦白紙に戻す可能性もありそうだ。妻の劉嘉玲(カリーナ・ラウ)が上海で経営する店にも抗議が寄せられ、「日本プロモーションをキャンセルした李氷氷(リー・ビンビン)を見習え!」と言った声も聞こえてきているという。トニーの言動や本作の今後について関心を寄せる人々が、多くなりそうだ。(編集担当:饒波貴子)